【DWE】The ABC Song「LMNOP」が速い理由
- 2020.02.03
- コラム 発音練習
- DWE, The ABC Song, リンキング
サンプルを聞いて驚いたことの一つ。
5年前にDWE(ディズニー英語システム)のサンプルDVDを初めて見たとき、驚いたことが「The ABC Song」でした。
英語のアルファベットが覚えられる歌「The ABC Song」。
曲調は日本でよく歌われる「きらきら星」と同じ、親しみやすい曲の一つですが、聞いてみると、なんか英語版は「自分の知っているABCの歌と違う!」と驚いた方もいるのではないでしょうか?
「LMNOP」が速い!
まず、きっと誰もが歌いだして驚くのが「LMNOP」の部分だと思います。「HIJK」までは日本版と同じなのに、「LMNOP」の部分で急に速くなります。
「はやっ!どうやって発音してんの」(苦笑)と、The ABC Songがかかったら、その部分だけ集中して聞いていた覚えがあります。
後半部分も歌詞がある!
また、後半部分にも驚いた方もいるのではないでしょうか?
日本版は「Z」を歌ったあと、またAに戻って、「H, I, J, K, L, M, N」で終わりますよね。
サンプルのように、「Now I ‘ve sung the ABCs」などの歌詞はなく、ただアルファベットを言っていくだけの歌です。
確かに最後の部分は「N」で終わってしまうので、「N以降はどこいった?歌わなくていいの?!」と思ってました。
(が、自然と何も思わなくなりました。慣れって怖い)
「LMNOP」が速い理由。
The ABC Songで「LMNOP」が速いことには、もちろん理由がありました。
それは、
「韻」を踏んでいるから!
各歌詞の最後、「G」「P」「V」「Z」が実は韻を踏んでいるんです。
A, B, C, D, E, F, G,
H, I, J, K, L, M, N, O, P,
Q, R, S, T, U, V,
W, X, Y and Z.
後半部分の歌詞の最後、「ABCs」と「me?」も、全て発音記号は同じ / í: / で終わっているんです!
ちなみに「きらきら星」の元である「Twinkle Twinkle Little Star」の方も、英語では韻を踏んでいます。
この韻ですが、日本ではHIPHOPが流行り出した1990年代後半で意識されるようになりましたが、それまでは韻はあまり意識されていなかったそうです。
初めて日本にABCの歌が紹介されたのは、江戸末期のジョン万次郎さんの英会話本でのことだったようなので、そのときには既に韻は無視されていたのかもしれません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ABC%E3%81%AE%E6%AD%8C
日本語では成り立たないから。
本場の歌は韻を踏んでいるのに、なぜ日本では歌詞を変えてしまったものが広まっているのでしょうか?
それは、日本人でも発音しやすいようアレンジされているからです。
英語は、母音1音で1音節。
日本語には基本的に、音節(音の区切り)は母音で終わります。
そして、拍でリズムをとります。
例えば、英語のL(él)は母音が1つなので、1音節で数えます。しかし、日本語は音節の終わりには母音をつけてしまうので、日本語で言う場合は「エ(é)・ル(lu)」と2拍になってしまいます。
元歌の「LMNOP」の歌詞に合わせて日本語で発音すると「エ・ル・エ・ム・エ・ヌ・オ・ー・ピ・ー」10拍にもなり、とても間に合いません。
それを間に合わせるために、「LMN」で歌詞を切ってしまったのです。
さらに後半の英語歌詞は、日本人には難しいので、元歌「Twinkle Twinkle Little Star」に合わせ、冒頭部分の繰り替えしにした。ということのようです。
こちらを参考にしました。http://www2.chokai.ne.jp/~assoonas/UC206.HTML
https://note.com/amorphous180131/n/n6683c298bb7a
The ABC Song「LMNOP」を歌うコツ。
この「LMNOP」を歌うコツがあります。それは、DWEの「The ABC Song」の歌にあるLet’s clap部分でも分かるように、「LMNOP」を5拍で歌うことです。
しかし、お分かりだと思いますが、英語では日本語発音で母音をつけたように「エル・エム・エヌ・オー・ピー」とは歌っていません。
英語のリンキングが発生している。
「LMNOP」では、英語のリンキングが発生しています。
リンキングとは、
ふたつの英単語を繋げて、一つの英単語のように発音するルールのこと
英会話上達への早道「リンキング」とは?英語のリンキングの法則とトレーニング方法https://alugo.net/blog/business-english/business-english-speaking-linking#i
です。
リンキングにはいくつかルールがあり、その中の一つに「子音で終わる英単語+母音で始まる英単語」は、くっつけて発音するルールがあります。
ここで「LMNOP」の発音記号(※ジョーンズ式)をそれぞれ見てみると、
/ él ém én óu pí: /
となっています。これをリンキングのルールに当てはめると、l + é, m + é, n+óu がそれぞれくっついて、
/ éléménóu pí: /
そして、「母音1音で1音節」のルールにのっとり、それぞれを母音で分けると、
/ é lé mé nóu pí: /
と5拍にしているということになります。
※óuは二重母音です。2つの母音ではなく、1つの音としてカウントされます。
日本語のカタカナ発音にしてみると、「エレメノゥピー」みたいな発音になります。
まとめ。
いかがでしたでしょうか?
最初に日本に導入したときに「アルファベットを覚える歌」として入ってしまったゆえに改変してしまったのかなと思います。
今では英語の発音をそのまま体感するという意味で、「LMNOP」で歌っているところも増えてきているようですよ。
参考になれば嬉しいです!
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